杉山 央 教授
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良い建築物を造るには、良い建築材料を使う必要があります。良い建築材料を作るには、その材料の特性を深く知り、適切な方法で作る必要があります。例えば、代表的な建築材料であるコンクリートはセメント、水、骨材(砂、砂利、砕石)などを混ぜて作り、時間の経過とともに硬化していきます。硬化過程においてはコンクリート中の熱や水分が複雑な挙動を示し、このような熱や水分の影響によってコンクリートの強度も異なってきます。そこで、コンクリート中の発熱、熱伝導、水分拡散の現象を数値解析によって予測するとともに、これらがコンクリート強度に及ぼす影響を精緻に推定するシステムの開発に取り組んでいます。このシステムが完成すると、要求性能を確実に満足したコンクリートを合理的に作ることができます。


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また、コンクリートのトレーサビリティを確保するための研究にも取り組んでいます。コンクリートは硬化前の状態で生コン工場から出荷され、建築現場に納入されます。適正な強度に硬化するかどうかは、だいぶ先にならないと判明しません。このような点で、コンクリートは他の工業製品よりも綿密なトレーサビリティが必要な建築材料といえます。そこで、ICタグの技術を活用してコンクリートの製造から施工に至るまでの各種情報を記録・保存する方法を考えています。
