学部長挨拶
地域の未来をポジティブに思考し,持続可能な地域社会形成を志向する地域デザイン科学

みなさま 宇都宮大学地域デザイン科学部へようこそ。
地域に学び,地域と造り,地域に還す,そして学生の皆さん自身が地域とともに成長できる場が,宇都宮大学の地域デザイン科学部です。
近年,世界規模では,気候変動の問題が進展し,結果として自然災害の多発が世界各地で発生しています。さらには紛争の激化,エネルギー価格の高騰,途上国における人口増加,食料問題など多様かつ重層的な問題が発生しています。国内の各地域においても,気候変動に起因する自然災害の多発に加え,人口減少,中心市街地の空洞化,空き家,耕作放棄地,里山の荒廃など問題が山積している状況です。こうした厳しい環境の中で,地域の未来をポジティブに思考し,持続可能な地域社会形成を志向する人材が求められています。
本学部では,コミュニティデザイン,建築都市デザイン,社会基盤デザインの3つの学科により構成され,各分野を専門的に学べるとともに,各分野を横断的に学ぶ文理融合,文理複眼の観点からの学びを積極的に展開しています。
コミュニティデザインの分野では,公共政策、地方自治、経済、自然、文化、食生活、観光、社会福祉、社会教育、NPOなどの専門的な分野を専攻しながら、これらを応用した地域デザイン能力を養い、これからの地域社会の担い手として、行政機関や民間企業、NPO等でリーダーシップを発揮し,新たなまちづくりに向けて社会システムを支え、魅力ある地域をデザインできる人材を育成しています。
建築都市デザインの分野では。建築学の基礎を学び、建築の先端技術や建築をとりまく社会の構造変化について学びます。さらに高齢社会、エネルギー、防災・減災などへのリスク対策を学び、各地域に応用する力を養います。実際の地域課題にとりくむことで、建築に関わる多分野の人と連携する力を培い、社会をハード・ソフトの両面から支える魅力ある建築物を創造し,新しい技術的解決方策を生み出すことができる人材を育成しています。
社会基盤デザインの分野では,土木工学とその周辺の専門知識を総合して,これからの時代の新たな道筋を切り拓くために,社会基盤をつくる土木工学,社会基盤・都市機能を「デザイン」する能力を学習します。これまでに経験したことのない複雑な問題が数多く待ち受けている中で,既存の学問や技術を組み合わせ,多様な分野の多彩な人たちとともに「新技術」を創造し,快適で安全な暮らしとその基盤のデザインを実践できる人材を育成しています。
これら専門的な学びは,全てアクティブラーニングにより実施しており, 受け身で知識を得るだけでなく、自らが考えて地域をデザインする力を養えるように、主体的・能動的学びを強化しています。また本学部の特徴の一つである,文理融合や地域連携を実践する機会として,特色ある学部共通科目が用意されています。地域課題を解決するための地域対応力や全学科を横断する学生チームと地域の関係者がワンチームとなって地域デザインを実践するための調査・分析力,プレゼンテーション力,協働力を身につけることができます。
さらには,地域デザインの一連の学びを通じて,ネガティブをポジティブに転換する発想力,地域の新たな魅力を高める創造力も培われます。
本学部の一連の学びは,学生のみなさんの自主性と地域の人々からの支えによって実現できており,地域との共修を進めながら,魅力ある地域の共創へと繋がる一連のプロセスを体験することができます。
地域に学び,地域と造り,地域に還す本学部での学びを経て,自分自身の成長を実感することができるでしょう。そして学生のみなさんの成長が,地域の成長にもつながっていくことでしょう。
地域の課題に向き合い,地域の未来を一緒に語り,魅力ある地域を共につくっていきましょう。
地域デザイン科学部長
横尾 昇剛