教員が語る「理想のまちづくり」

教員が語る「理想のまちづくり」

2017-04-15三田妃路佳 准教授,古賀誉章 准教授,松本美紀 助教

コミュニティデザイン学科 三田 妃路佳 准教授

専門分野:政治学、地方自治論
主な授業科目:公共政策入門、政治学概論、政策過程論

まちづくりの中での情報共有の拠点として

私の研究分野である政治学、公共政策学は、決して遠い世界のものではなく、私たちの現在、未来に関わる制度や政策の決定や内容について学ぶものです。未来をつくるという意味では、学生の若い発想も重要です。学生と一緒に地域の問題について取り組んでいきたいと思います。

政治や公共政策は、住民が積極的に参加することで、より地域の実態にあったものができてくると思いますが、残念なことに、政治への関心は高まらずあまり投票に行かないという現実があります。自分が参加し意見を表明することでよりよい政策、よりよい社会ができるという実感が生まれてくれば、状況は変わってくると思います。そのためには、多くの情報を共有する仕組みに関して真剣に考えないといけないと思います。

理想のまちづくりは、住民、議会、行政が情報を共有できている社会がベースになると考えます。様々な情報を得ることで議論や見解を深め、多くの人が納得のいく判断につながります。情報を得て政策決定に関わり、その決定や結果に責任を持つ。情報や意見を共有し合意形成を図りながらまちづくりを進めていくということです。

大学は地域住民とも、また行政や政治のキーパーソンとも比較的に接点を持ちやすい存在であり、専門的知識も持っています。住民の悩みや地域の課題を拾いあげ、政治家や行政の担当者にヒアリング調査を行って問題の解決策を考えていくという役割を大学は担うことができます。地域デザイン科学部がまちづくりのなかでの、情報共有の拠点として育っていければと思います。

建築都市デザイン学科 古賀 誉章 准教授

専門分野:建築安全学、建築計画学
主な授業科目:バリアフリー建築論、高齢者防災論

一人ひとりが自分にとって一番良いかたちで、まちにつながる

私は、長年、環境心理学という分野の研究をしてきました。環境心理学は利用者の気持ちを受けとめ、利用者にとって望ましい空間をつくるためには何が求められているのかを評価、収集し、計画に活かしていく学問です。

例えば学校には指導要領という共通フォーマットがありますが、地域の暑い寒いによって体育の授業内容も変わったりするなど、実際には一校ごとに違うニーズを持っています。このように、その場所の特性、地域文化なども地元の方に聞いて吸い上げていかないと、よい空間はできません。これまで実際に利用する人たちに寄り添って考えてきたので、私にとっての望ましいまちづくりとは、一人ひとりが自分にとって一番良いかたちでまちとつながっていることだと考えます。合理的な判断をする人ばかりではありません。できるだけ多くの人に納得してもらうことが大切だと思います。

新学部は、地域とのより直接的な関わりの中で、実際に起きていることから学び、課題を見つけ、解決策を一緒に考えていくというかたちで地域に力添えができるのではないかと考えます。

建築では、課題や要求性能の整理に科学的・合理的な視点が求められる一方で、誰も考えもしないような独創的なデザインによる解決策の提案も大事です。学生には自由な発想力と視野の広さを持つとともに、自分以外の意見、存在を理解し受けとめるような素養を育ててほしいと思っています。

社会基盤デザイン学科 松本 美紀 助教

専門分野:建設マネジメント
主な授業科目:合意形成、事業評価、防災教育

心理学の手法も取り入れ、広い視野でまちづくりを考える

私の研究は建設マネジメントという分野で、公共事業に対する住民の理解を得る合意形成の手法や、その公共事業が住民にとってどれくらいの価値があるのか、というようなことを心理学的な手法も使いながら研究しています。

今までの土木工学というものは、例えば橋を計画する場合、いかに丈夫につくるか、というようなハード面の研究に重点が置かれていたと思いますが、橋ができることによって地域の人たちの生活がいかに便利になるのか、完成後の維持管理の在り方、周辺地域だけではなく橋を中心にまち全体がどう変わっていくのか、そのようなところまで地域の方々と計画段階から一緒に考えながら、まちづくりを進められるようになっていけばと考えています。

マネジメントの対象は建造物だけではありません。防災や復興、少子高齢社会の問題もそうです。新しい学部では、従来の工学分野プラスアルファ、心理学的手法を含めてもう少し広い視野で複合的にまちづくりを研究していくことになります。

学生には、できるだけ地域に入って、実際に地域の人たちと触れ合ってほしいと思っています。学んだことと現実の違いなど、いろいろ影響を受けると思いますが、一つひとつの気づきが大事です。彼らの視点から見た地域への思いや考えには、我々が気づかない、まちづくりに活かせるヒントがたくさんあるのです。