Welcome to 研究室&ゼミ「環境設備研究室」

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地域デザイン科学部

研究室の概要

私たちにとって、健康的な室内環境とともに地球環境を守るための省エネルギーも重要です。そこで、様々な環境配慮・省エネルギー技術とそれらの最適な組合せで実現する「環境建築」の設計法や評価法を研究しています。最近は、高性能ガラスファサードや自然換気併用ハイブリッド空調、エネルギーシミュレーション法の研究に力を入れています。

郡教授を囲んで、学生と研究スタッフ
郡教授を囲んで、学生と研究スタッフ・糸井川高穂助教(郡教授の右):温熱生理心理が専門、佐藤豊技術専門職員(郡教授の左):住宅が専門の工学博士

教員から

郡 公子教授

都市環境や地球環境など室内環境だけではなく外部の環境にも配慮した環境建築の設計法と評価法について研究しています。いろいろな環境配慮の手法、工夫を詰め込んで環境建築というものをつくるのですが、環境配慮の工夫の効果を実際に建物に出向いての実測調査で性能評価をしたり、効果を予測するための計算法をつくったり、設計のためのデータを用意したり、というようなことをしています。
 ここ10年ほどは、学生とともに私が開発に携わっている「BEST」というエネルギーシミュレーションプログラムの研究に力を入れています。時々刻々の室内環境、冷暖房熱量、機器のエネルギー消費量を予測するプログラムなのですが、10年たってようやく特徴あるプログラムが完成して、2016年に『空気調和・衛生工学会賞』を、今年は『日本建築学会賞』をいただくことができました。学生たちはこの10年で100編を超える研究発表を学会で行い、BESTの信頼性を確実なものにしてくれました。学生とともにいただいた賞です。
 建築には、目には見えないけれども環境的に、エネルギー的に優れた性能を持つよう緻密に計画された工夫がいっぱい詰まっているのです。設計する人がいて、つくる人がいて、設計を理論的に支える研究者がいて、みんなで環境建築の発展を支えています。学生たちには、建築を創造することの素晴らしさを、日々の研究が都市環境や地球環境の問題につながっているということを、より深く理解してほしいと思っています。地球環境時代と言われる現代において極めて重要な研究分野です。これからの未来をつくるために、研究室で学んだ学生には日本、そして世界のために活躍してほしいと思っています。

郡公子教授
郡 公子 教授 専門分野:建築学・建築環境・設備 授業科目:学部/設備工学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ大学院/環境設備特論など

学生から

修士2年 天城 大治さん

建築の分野で地球環境問題に貢献できればと思い、この研究室を選びました。研究テーマは外気制御システムの効果解析です。換気のための外気取り入れ量を制御すると省エネになる可能性があるので、郡先生が開発に携わっているシミュレーションツールを利用して1年間の消費エネルギーなどを予測して省エネの効果を調べています。解析値をグラフ化するときにグラフ一つ見ればすべてが理解できるように描くことを先生に指導され、研究成果を如何に伝えられるか常に意識するようになりました。研究成果が実際の設計の進歩につながればと思っています。

修士2年 天城 大治さん

修士2年 橋本 真実さん

気象と空調装置の負荷との関係について研究しています。地球温暖化や異常気象が起きているにもかかわらず空調の負荷が近年の平均的な気象データを用いたエネルギーシミュレーションによって決められていることに疑問を持ち、過去30年分の気象データを使って実際の気象のばらつきが空調の負荷にどれくらい影響しているのか調べ、それを可視化する研究をしています。大学院進学後はシミュレーションによる研究がメインですが、卒論では古民家改修の 効果を実測で評価する研究をしました。研究室には気流利用空調の実験研究をする学生もいます。シミュレーションと実測両方研究できる環境があり、いい経験ができると感じています。

修士2年 橋本 真実さん

修士2年 佐東 拓海さん

自分はすごい暑がりで周りの人が寒いくらいが快適と感じるので、個人差に適応した空調手法が必要ではないかと思ったことが、環境建築に興味を持つ始まりでした。今は、自然換気によって室内空間を良くする方式について研究していて、自然換気の効果を予測するシミュレーションプログラムを開発・改良しその精度向上を目指しています。これからの環境建築には生産性や快適性が着目されるのではないかと思っています。室温が一定の時よりも自然に変わっていくほうが疲労度が少ないという研究結果もあります。こうした新しい環境作りの方向に今の研究がプラスになると考えています。

修士2年 佐東 拓海さん

修士1年 松山 大介さん

ダブルスキンなどの高性能ガラスファサードを使うことにより室内環境がどれくらい良くなるか、省エネがどれくらい達成できるかということを検証しています。国内840地点のシミュレーション結果からヒートマップを作ると日本地図上にどの地域で効果が高いかということが示されるので、実際に足を運ばずとも全国各地の効果を解析することができます。こうしたコンピュータシミュレーションの良さを活かして建築の性能を検証しています。これからは、光環境に焦点を置いた研究や、既存のプログラムを使うだけはなくプログラムそのものの開発、計算式の提案などもしていければと考えています。

修士1年 松山 大介さん